SKH材の平面研削・研磨（ラップ）・内径外径・ねじ研削加工はお任せください！

「SKH材」は、高速工具鋼（ハイスチール、HSS: High-Speed Steel）を意味し、切削工具や金型など、高速切削性能や耐摩耗性が求められる用途に使用される合金鋼です。SKH材は、炭素を基本とし、タングステン（W）、モリブデン（Mo）、バナジウム（V）、クロム（Cr）などの元素を添加して強度と耐摩耗性を向上させています。

特徴

1. 高硬度:
   • 高温でも硬度を保つことができるため、高速切削や高負荷の条件下でも優れた性能を発揮します。
2. 耐摩耗性:
   • 高い耐摩耗性を持ち、長時間の使用でも摩耗が少なく、寿命が長いです。
3. 耐熱性:
   • 高温に対しても安定した特性を保持し、工具としての性能を維持します。
4. 靱性:
   • 高い靱性を持ち、衝撃に対する耐性も備えています。これにより、切削工具としての耐久性が向上します。

種類と化学成分

SKH材にはいくつかの種類があり、それぞれの化学成分は異なります。以下に代表的なSKH材の種類とその化学成分を示します。

1. SKH51:
   • 炭素（C）: 0.80～0.90%
   • タングステン（W）: 5.50～6.75%
   • モリブデン（Mo）: 4.50～5.50%
   • クロム（Cr）: 3.75～4.50%
   • バナジウム（V）: 1.75～2.20%
   • コバルト（Co）: 0～1.00%
2. SKH55:
   • 炭素（C）: 0.75～0.85%
   • タングステン（W）: 6.25～7.00%
   • モリブデン（Mo）: 5.00～5.75%
   • クロム（Cr）: 3.75～4.50%
   • バナジウム（V）: 1.75～2.20%
   • コバルト（Co）: 4.75～5.25%
3. SKH59:
   • 炭素（C）: 0.85～0.95%
   • タングステン（W）: 5.50～6.75%
   • モリブデン（Mo）: 4.50～5.50%
   • クロム（Cr）: 3.75～4.50%
   • バナジウム（V）: 1.75～2.20%
   • コバルト（Co）: 8.00～9.50%

利用例

SKH材はその高い硬度と耐摩耗性、耐熱性から、さまざまな用途で使用されています。

• 切削工具: ドリル、タップ、フライスカッター、旋盤工具など。
• 金型: プレス金型、成形金型、ダイカスト金型など。
• その他の工具: 鋸刃、ナイフ、パンチ、ゲージなど。

熱処理プロセス

SKH材は熱処理により特性を向上させることができます。代表的な熱処理プロセスは以下の通りです。

1. 焼入れ（Quenching）:
   • 鋼材をオーステナイト化温度（通常1200～1280℃）に加熱し、その後急冷することで硬度を向上させます。
2. 焼戻し（Tempering）:
   • 焼入れ後、適度な温度（通常540～600℃）で再加熱し、所望の硬度と靱性を得るための処理です。

まとめ

SKH材はその高い硬度と耐摩耗性、耐熱性から、精密な切削工具や耐久性のある金型、その他の工具など、多くの産業分野で重要な役割を果たしています。特に、高い精度と耐久性が求められる用途で広く利用されており、適切な熱処理を施すことで、その特性を最大限に引き出すことができます。