SUS630材の平面研削・研磨(ラップ)・内径外径・ねじ研削加工はお任せください!

大古精機では精密ゲージ設計製作の加工技術・検査能力を活かして、精密研削加工を行なっております。

大古精機では、これまでの実績をもとに独自に加工条件を設定し、試作を行なっておりますので、SUS630材の平面研削加工、研磨(ラップ)加工、内径外径加工、ねじ研削加工につきましても是非ご相談ください。

大古精機の精密研磨加工の詳細については、こちらをご覧ください。

SUS630材とは

SUS630材は、一般的に17-4PH(17-4 Precipitation Hardening Stainless Steel)として知られる析出硬化系ステンレス鋼の一種です。この鋼材は、高強度、高硬度、優れた耐食性を持ち、多くの工業用途で広く使用されています。

特徴

  1. 高強度・高硬度:
    • SUS630材は、析出硬化処理によって非常に高い強度と硬度を得ることができます。この処理により、引張強さや降伏強さが大幅に向上します。
  2. 優れた耐食性:
    • クロムと銅を含む合金成分により、優れた耐食性を持ちます。一般的な環境、海洋環境、および軽度の酸性環境での使用に適しています。
  3. 加工性:
    • 冷間加工や熱間加工が可能であり、加工後に析出硬化処理を施すことで所望の機械的性質を得ることができます。
  4. 耐熱性:
    • 高温環境でも安定した機械的特性を維持します。
  5. 寸法安定性:
    • 硬化処理後も優れた寸法安定性を維持します。

化学成分

SUS630材の主な化学成分は以下の通りです。

  • 炭素(C): 0.07%以下
  • シリコン(Si): 1.00%以下
  • マンガン(Mn): 1.00%以下
  • リン(P): 0.040%以下
  • 硫黄(S): 0.030%以下
  • ニッケル(Ni): 3.00~5.00%
  • クロム(Cr): 15.00~17.50%
  • 銅(Cu): 3.00~5.00%
  • ニオブ(Nb): 0.15~0.45%

機械的性質

SUS630材の主な機械的性質は以下の通りです(H900状態、摂氏900°Fで1時間保持後、空冷した場合)。

  • 引張強さ: 1310 N/mm²以上
  • 降伏強さ: 1170 N/mm²以上
  • 伸び: 10%以下
  • 硬度: 約 44 HRC

利用例

SUS630材はその高強度、高硬度、優れた耐食性から、さまざまな用途で使用されています。

  • 航空機部品: シャフト、ギア、ボルト、ナットなど。
  • 化学処理設備: タンク、バルブ、パイプなど。
  • 船舶部品: プロペラシャフト、マリンハードウェアなど。
  • 医療機器: 手術用器具、インプラントなど。
  • その他の用途: スポーツ用品、石油化学機器、食品加工機器など。

熱処理プロセス

SUS630材は、熱処理によってその特性を最大限に引き出すことができます。以下は代表的な熱処理プロセスです。

  1. 溶体化処理(Solution Treatment):
    • 約 1040℃に加熱し、その後急冷します。この処理により、析出硬化のための準備が整います。
  2. 析出硬化処理(Precipitation Hardening Treatment):
    • 適切な温度(通常は482~621℃)で加熱し、一定時間保持した後に冷却します。これにより、析出硬化が進行し、高強度と高硬度が得られます。

状態

SUS630材は、特定の熱処理条件によって異なる機械的性質を持つ状態にすることができます。これらの状態は「H」番号で表されます。

  • H900: 900°F(約 482℃)で1時間保持後、空冷。
  • H925: 925°F(約 496℃)で4時間保持後、空冷。
  • H1025: 1025°F(約 552℃)で4時間保持後、空冷。
  • H1075: 1075°F(約 580℃)で4時間保持後、空冷。
  • H1150: 1150°F(約 621℃)で4時間保持後、空冷。

各状態によって、強度と硬度が異なりますが、一般に温度が低いほど高い強度と硬度が得られます。

まとめ

SUS630材は、その高強度、高硬度、優れた耐食性から、多くの産業分野で重要な役割を果たしています。特に、航空機部品、化学処理設備、船舶部品、医療機器などの高性能が求められる用途で広く利用されています。適切な熱処理を施すことで、その特性を最大限に引き出し、長寿命で高性能な部品を製造することができます。

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