精密研磨加工と精密研削加工の違い
「研磨(けんま)」と「研削(けんさく)」はどちらも表面を削って滑らかにする加工ですが、目的や方法に明確な違いがあります。
以下の表で整理します。
項目 | 研削(けんさく) | 研磨(けんま) |
目的 | 寸法精度・形状精度を出すための加工(削ることが主目的) | 表面をなめらかに、光沢を出すための仕上げ(磨くことが主目的) |
除去量 | 比較的多い(数μm~数十μm程度) | ごく少ない(数μm以下~ナノオーダー) |
使用工具 | 砥石(WA、GCなど) | 研磨布、研磨剤、ラッピング剤、バフなど |
対象硬さ | 硬い材料(鋼、超硬、セラミックスなど)にも対応 | どちらかというと仕上げ・鏡面用途(樹脂、金属など) |
代表例 | 平面研削、円筒研削、内面研削など | バフ研磨、ラッピング、ポリッシングなど |
加工目的 | 寸法出し・形状修正 | 外観向上・表面粗さ改善・光沢仕上げ |
これらをまとめると
• 研削=「削る」:工作機械で砥石を使って精度を出す。
• 研磨=「磨く」:表面を整え、美しく仕上げる。
と言えるのではないでしょうか。
たとえばゲージや精密部品では、「研削で寸法を出して → 研磨で鏡面に仕上げる」という流れが一般的です。
精密ゲージの研磨は、単なる光沢仕上げではなく、寸法精度・平面度・真円度を極限まで高めるための工程です。
そのため、一般の金属部品研磨とは手順も目的も少し異なります。
精密ゲージの研磨工程(例)
以下に、精密ゲージ(例:リングゲージ・ブロックゲージ・プラグゲージなど)の研磨工程の典型的な流れをまとめます。
工程 | 使用工具・方法 | 主な目的 | 備考 |
① 研削仕上げ(精密研削) | 平面研削盤・円筒研削盤・内面研削盤などでWA砥石などを使用 | 寸法精度(μm単位)と形状精度を確保 | ここで公差の80~90%まで仕上げる |
② ラッピング(粗ラップ) | 鋳鉄ラップ盤+ラッピング剤(粒度 #800~#1200) | 研削目を除去し、面精度・平面度を向上 | 微量の研磨剤で均一に擦り合わせる |
③ ラッピング(仕上げラップ) | 鋳鉄または銅ラップ+ダイヤモンドペースト(粒度 3~1μm) | 表面粗さの低減、精密仕上げ | 面粗さ Ra 0.05μm以下を目指す |
④ ポリッシング(鏡面研磨) | フェルトや皮バフ+微粒ダイヤペースト(0.25μm程度) | 表面の最終仕上げ・光沢出し | 寸法変化を極小に抑えながら鏡面化 |
⑤ 測定・検査 | 表面粗さ計、平面度測定器、CMMなど | 寸法・真円度・平面度の確認 | 必要に応じて再ラップ |
特徴とポイント
- 寸法を削る目的ではなく、「平面度・真円度・粗さを整える」目的。
- 研削で“削る”、ラップで“整える”、ポリッシュで“仕上げる”という流れ。
- ラッピング・ポリッシングは手作業または半自動機が多く、熟練技能が重要。
- 加工環境(温度・清浄度)も重要で、測定室レベルの環境で行う場合もあります。
表面粗さの目安
仕上げ段階 | 表面粗さ Ra(μm) |
精密研削後 | 0.2~0.05 |
仕上げラップ後 | 0.05~0.02 |
ポリッシュ後(鏡面) | 0.01以下 |
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