形状公差とは|精密研削加工

形状公差(Form Tolerance)は、機械部品の特定の形状要素が設計意図にどれだけ近いかを示すための公差です。形状公差は部品の寸法的な精度だけでなく、その形状の正確さを保証するために使用され、部品が設計どおりに機能するために不可欠です。形状公差は、一般的に幾何公差の一部として扱われ、ISO(国際標準化機構)やASME(アメリカ機械工学会)の標準に基づいて定義されます。

形状公差の分類

形状公差は主に以下の4つに分類されます:

  1. 直線度(Straightness
    • 直線度は、線要素(例えば、部品のエッジやシャフトの軸線)が理想的な直線からどれだけずれているかを示します。
    • 例えば、シャフトの中心軸が直線であるかどうかを測定し、直線からの許容偏差を規定します。
  2. 平面度(Flatness
    • 平面度は、平面状の表面がどれだけ平坦であるかを示します。
    • 平面度公差は、表面の高低差(表面の最も高い点と最も低い点の差)が許容範囲内であることを保証します。
    • 平面度は、密閉部品や接触面が正確に平らである必要がある場合に重要です。
  3. 円筒度(Cylindricity
    • 円筒度は、円筒状の表面(例えばシャフトや穴)がどれだけ完全な円筒形状からずれているかを示します。
    • 円筒度は、部品全体が一様な円筒形であることを保証するために使用され、異常摩耗や不均一な接触を防ぎます。
  4. 円度(Roundness
    • 円度は、円形状の断面がどれだけ理想的な円からずれているかを示します。
    • 例えば、車輪やピンの断面が正確に円形であることを保証するために使用されます。

形状公差の適用例

形状公差は、以下のような様々な製造部品に適用されます:

  • シャフトとベアリング: シャフトの直線度や円筒度、ベアリングの円度は、それらが正しくかみ合い、スムーズに回転するために極めて重要です。
  • エンジン部品: エンジン内部のシリンダーやピストンの円筒度や平面度は、効率的な燃焼と長寿命を保証するために厳密に管理されます。
  • 接触面: 機械部品の接触面や取り付け面の平面度は、漏れや不均一な応力分布を防ぐために重要です。

形状公差の測定方法

形状公差を測定するには、精密な測定機器が必要です。主な測定方法としては以下のものがあります:

  • CMM(座標測定機): 高精度の三次元測定を行うための装置で、部品の形状を非常に正確に測定することができます。
  • 表面粗さ測定器: 平面度や直線度を測定するために用いられることがあります。
  • 回転ダイヤルゲージ: 円度や円筒度を測定する際に、部品を回転させながら測定する方法です。

形状公差の重要性

形状公差は、部品の組み立てや最終製品の性能に直接影響します。例えば、円筒形のシャフトが僅かに楕円形の場合、摩耗が早まり、振動や異常音が発生する可能性があります。同様に、平面度が適切でない場合、接触面の隙間から液体が漏れる、あるいは不均一な荷重がかかることによって部品が早期に損傷する可能性があります。

形状公差は、機械設計や製造の品質管理において極めて重要な役割を果たし、製品の信頼性と耐久性を確保するための基本的な基準となっています。適切な形状公差を設定し、それを厳密に管理することは、高品質な製品を提供するための不可欠なステップです。

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