幾何公差とは

幾何公差とは

幾何公差(Geometric Dimensioning and Tolerancing、略してGD&T)は、機械部品や製品の製図において、形状や位置関係、寸法の精度を指定するための手法です。

幾何公差は、単に寸法を示すだけでなく、部品が機能するために必要な形状の正確さや、他の部品との組み立てにおける位置関係を詳細に規定します。

この手法により、製造プロセスにおける許容範囲を明確にし、部品の相互交換性を確保することができます。

 

幾何公差の目的

幾何公差の主な目的は以下の通りです:

  1. 製品の機能保証: 部品やアセンブリが正確に機能するために必要な形状や位置を定義します。
  2. 製造の許容範囲の明確化: 製造工程で許容される誤差の範囲を明示し、製造コストと品質のバランスを取ります。
  3. 相互交換性の確保: 同一仕様の部品が、異なる製造ロットや異なるメーカーから供給された場合でも、組み立てや機能に支障がないようにします。
  4. コミュニケーションの標準化: 設計者、製造者、検査員の間での意図の誤解を防ぎ、製図の理解を統一します。

幾何公差の主要な要素

幾何公差は、形状公差、位置公差、姿勢公差、振れ公差という4つの基本カテゴリに分類されます。それぞれのカテゴリには、特定の目的に応じた複数の公差が含まれます。

  1. 形状公差 (Form Tolerances)

形状公差は、部品の個々の形状に対する許容範囲を指定します。これにより、部品の形状そのものが規定の範囲内に収まることを保証します。

  • 真直度 (Straightness): 直線部分がどの程度まっすぐであるかを規定。
  • 平面度 (Flatness): 面がどの程度平らであるかを規定。
  • 円筒度 (Cylindricity): 円筒状の表面がどの程度正確な円筒形状を保っているかを規定。
  • 円度 (Roundness): 円形の断面がどの程度正確な円形であるかを規定。
  1. 位置公差 (Location Tolerances)

位置公差は、複数の部品間の相対的な位置関係を規定します。これにより、部品同士が正確に組み合わさることを保証します。

  • 位置度 (Position): 特定の基準からどの程度の位置にあるべきかを規定。
  • 同軸度 (Concentricity): 円筒状部品の軸がどの程度一致しているかを規定。
  • 対称度 (Symmetry): 部品の特定の部分が、基準面に対してどの程度対称であるかを規定。
  1. 姿勢公差 (Orientation Tolerances)

姿勢公差は、部品の特定の面や軸が他の面や軸に対してどの程度の角度や方向を保っているかを規定します。

  • 平行度 (Parallelism): 2つの面や軸がどの程度平行であるかを規定。
  • 直角度 (Perpendicularity): 面や軸が基準に対してどの程度直角を保っているかを規定。
  • 傾斜度 (Angularity): 面や軸が基準に対して特定の角度を保っているかを規定。
  1. 振れ公差 (Runout Tolerances)

振れ公差は、回転する部品の軸や表面が回転中にどの程度の振れを示すかを規定します。

  • 円周振れ (Circular Runout): 部品が回転したときに、断面がどの程度一定の円を描いているかを規定。
  • 全振れ (Total Runout): 部品全体が回転したときに、表面がどの程度一定の形状を保っているかを規定。

幾何公差の表記法

幾何公差は、図面上で特定の記号とフレームを使って表記されます。これにより、設計者の意図が明確に伝わります。以下はその一般的な表記法の例です:

  • 公差枠: 公差の種類と値が記載される矩形の枠。
  • 基準: 部品のどの面や軸が基準となるかを示す文字(例:ABC)。
  • 記号: 真直度や位置度など、特定の公差を示すための記号(例:は直角度を示す)。

幾何公差の実際の運用

製造業において幾何公差を適用することは、設計段階から検査、品質管理まで、製品の全ライフサイクルにおいて重要な役割を果たします。例えば、精密機械部品の製造では、幾何公差を正確に守ることで、製品の性能と耐久性を保証することができます。

また、幾何公差は、製造コストの管理にも貢献します。必要以上に厳しい公差を設定すると、製造コストが増大する可能性があるため、製品の機能とコストのバランスを考慮して公差を設定することが重要です。

まとめ

幾何公差は、機械設計や製造において不可欠なツールであり、製品の品質を確保し、製造プロセスの効率を向上させるために使用されます。

形状、位置、姿勢、振れの各公差を適切に設定することで、製品が設計通りに機能し、組み立てやすく、かつコスト効率の高い製造が可能となります。

幾何公差は、設計者、製造者、検査員が共通の理解を持って製品を作り上げるための標準化された言語とも言えるでしょう。

 

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