インバー材とスーパーインバー材の違いについて|精密研削加工
精密研削加工の材料としてインバー材に対するお問合せやご相談が増えてきております。大古精機でもインバー材の精密研削、精密研磨加工に取り組んでおりますので、是非お問合せください。
今回は、インバー材とスーパーインバー材の違いについてまとめてみましたので、皆様のご参考になれば幸いです。
インバー材とスーパーインバー材の違い
インバー材とスーパーインバー材は、どちらも温度変化による膨張が非常に少ない特殊な合金ですが、その熱膨張率に大きな違いがあります。
インバー材の特徴
・鉄とニッケルを主成分とする合金。
・熱膨張率が鉄の約1/10と非常に低い。
・温度変化による寸法変化が少なく、精密機器に適している。
・耐食性も比較的高い。
インバー材の主な用途
・時計、測定器、光学機器などの精密機器
・端子、電極などの電気部品
・建築材料(温度変化による変形を抑える)
スーパーインバー材の特徴
・インバー材をさらに発展させた合金。
・鉄、ニッケルに加えてコバルトを含んでいる。
・熱膨張率がインバー材よりもさらに低い。
・温度変化に対する安定性が極めて高い。
スーパーインバー材の主な用途
・半導体製造装置
・航空宇宙産業
・医療機器
・高精度な測定機器
インバー材とスーパーインバー材の比較表
特性 | インバー材 | スーパーインバー材 |
主成分 | 鉄、ニッケル | 鉄、ニッケル、コバルト |
熱膨張率 | 鉄の約1/10 | 鉄の約1/100以下 |
温度安定性 | 高い | 極めて高い |
用途 | 精密機器、電気部品、建築材料 |
半導体製造装置、航空宇宙産業、医療機器 |
インバー材とスーパーインバー材の材料特性
材質名(材質記号) | インバー (FN-36) | スーパーインバー (FN-315) |
UNS 合金番号 | K93603 | K93500 |
主要化学成分 | 36Ni-Fe | 31Ni-5Co-Fe |
該当規格 ASTM | F1684 | F1684 |
密度 (g/cm³) | 8.24 | 8.35 |
硬さ (Hv)A :軟質材 | 約130 | 約150 |
線膨張係数 (×10⁻⁶/°C) | ≦2.0 (30°C~100°C) | ≦1.3 (30°C~100°C) |
約1.2 (-20°C~60°C) | 約0.5 (-20°C~60°C) | |
体積抵抗率 (×10⁻⁶Ω·m) | 80 | 80 |
引張強さ (MPa) | 400~480 | 430~520 |
伸び (%) | 約45 | 約40 |
キュリー温度 (°C) | 約270 | 約230 |
ヤング率 (GPa) | 約140 | 約140 |
(数値はそれぞれ代表値)
まとめ
• インバー材: 熱膨張率が低く、精密機器などに使われる。
• スーパーインバー材: インバー材よりもさらに熱膨張率が低く、より高精度が要求される分野で使われる。
どちらを選ぶべきかは、製品に求められる精度や使用環境によって異なります。より高い精度が要求される場合は、スーパーインバー材を選ぶのが一般的です。
インバー材、スーパーインバー材それぞれの基本情報も併せてご覧ください。
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