振れ公差とは|精密研削加工
振れ公差(Runout Tolerance)は、機械部品の回転精度や真円度に関連する重要な寸法公差です。特に、回転する部品やその取り付け面における不規則な振れを制限するために使用されます。
振れ公差の種類
振れ公差には主に以下の2種類があります:
- 全振れ公差(Total Runout Tolerance):
- 対象となる面のすべての点が基準となる軸に対してどの程度の範囲で振れているかを測定するものです。
- 例えば、円筒形のシャフトの全振れ公差は、シャフト全体の表面が基準軸に対してどれだけ偏心しているかを測定します。
- 全振れ公差は、円筒の長さ全体や表面全体にわたって一貫性のある回転運動を保証するために用いられます。
- 円周振れ公差(Circular Runout Tolerance):
- 部品が回転する際の円周方向の一断面における振れを制御します。
- これは、ある断面が回転する際に、基準軸に対してどれだけ偏心しているかを示します。
- 円周振れ公差は、各断面が独立して測定され、例えば、歯車やディスクなどの部品の単一の断面における精度を保証するために使われます。
振れ公差の適用
振れ公差は主に次のような部品に適用されます:
- シャフト: 回転するシャフトがその軸に対してどれだけ偏心しているかを制御するために使用されます。
- ベアリング: ベアリングハウジングや軸に振れ公差を適用することで、回転の滑らかさと安定性を確保します。
- 車輪や歯車: 車輪や歯車の振れが大きいと、振動や異常摩耗が発生する可能性があるため、振れ公差が重要です。
測定方法
振れ公差を測定するには、一般的に以下の手法が用いられます:
- ダイヤルゲージ: 部品を回転させながら、ダイヤルゲージを用いて振れ量を測定します。これにより、基準軸に対する偏心度合いが確認できます。
- CNC機械: より高度な測定には、コンピュータ数値制御(CNC)機械を使用して、非常に正確に振れ公差を測定することもあります。
振れ公差の重要性
振れ公差は、機械的な精度や耐久性を確保するために非常に重要です。不適切な振れ公差は、部品の異常な摩耗や振動、騒音の原因となり、機械の性能や寿命に大きな影響を与える可能性があります。そのため、振れ公差は慎重に設定され、適切に管理される必要があります。
このように、振れ公差は機械設計や製造の中で非常に重要な要素であり、部品の品質と性能を維持するための基本的な基準となっています。
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