【精密研削加工事例】SUS304 φ30シャフト 外径研削|公差±1μm・面粗度Ra0.2対応実績

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精密研削加工における外径加工の安定性と面粗度制御は、特にステンレス系材料(SUS304など)では研削焼けや熱膨張による寸法変動を引き起こしやすく、加工条件の最適化と治具設計が品質を左右します。

本稿では、外径φ30・長さ120mm、寸法公差±1μmRa0.2以下を求められたステンレスシャフトの精密外径研削事例について、当社での技術的対応内容をご紹介します。

加工対象の仕様と条件

  • 材質:SUS304(オーステナイト系ステンレス)
  • サイズ:φ30mm × 120mm
  • 数量:10本(試作対応)
  • 寸法公差:外径 ±1μm
  • 表面粗さ:Ra0.2以下(JIS B 0601準拠)

加工プロセスと技術対応

加工機および使用砥石

  • 加工機:高精度円筒研削盤(恒温室内設置、湿式仕様)
  • 砥石仕様WA砥粒#1000、ビトリファイド結合、砥石周速 25m/s

クランプ方式と芯出し

片側センター支持、反対側チャック固定方式を採用。センター穴精度は加工前に再仕上げを行い、芯押し時の圧力分布を均等化するため、自動調整式センタースプリング機構を併用。これによりシャフト軸方向のたわみを制御し、振れ精度を3μm以内に抑制。

研削条件と熱変位対策

  • 切込み量:粗研削0.005mm/ストローク仕上げ研削0.002mm/ストローク
  • 砥石ドレッシング:加工ごとに自動ドレスを実施
  • 冷却方式:内蔵冷却循環システム+ノズル角調整
  • 室温安定化23±0.5℃環境下で加工・測定を実施

SUS304は低熱伝導性かつ加工硬化しやすいため、研削温度を50℃以下に抑えることを重視。加工後の冷却収縮による寸法変動を見越し、寸法補正ルールをワーク個体ごとに設定しました。

表面粗さの安定化措置

仕上げ工程にて砥石回転数とワーク回転数の最適化(周速度比)を再調整。微細ビビり防止のため、砥石のホイールバランサ調整を1μm未満で再設定Ra0.2以下を安定して得るため、研削圧と送り速度のバランス制御(手動微調整)を実施。

測定結果(加工後実測値)

測定項目 測定値(代表値) 測定機器
外径寸法 φ30.000±0.0005mm MAHR ULM600
面粗度Ra 0.16~0.18μm 表面粗さ計(TokyoSeimitu)
真円度 0.6~0.7μm 円筒度測定器(Tokyo Seimitu)

 

考察と技術ポイント

  • SUS304に対し焼け・白層・ミクロ割れなしRa0.2以下の仕上げを安定化できた点は、熱影響の最小化と振動制御に尽きる。
  • 砥石の粒度・結合度選定とドレッシングの頻度制御が、加工硬化層の発生回避に寄与。
  • ±1μmの寸法精度は、加工温度環境・測定環境の完全な管理を前提とした加工測定補正加工のループ制御で達成。

おわりに

大古精機では、ステンレスや工具鋼、難削材への精密外径研削加工において、±1μmクラスの寸法公差やRa0.1台の面粗度を求められる案件にも柔軟に対応可能です。恒温環境・高精度設備・加工ノウハウを組み合わせたソリューションで、試作~中量産まで一貫対応します。

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